ハジメの一歩
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食材やコンロ、炭なんかを台車に載せて、指定のテーブルに運んでいった。
あああ、まじで日陰がねぇな。でもタツミくん達はまだ戻らないから、唯一屋根が付いている洗い場へ行って、ホノカと一緒に肉を切ったり野菜を洗ったりしていた。
「そういやホノちゃん、朝タツミくんのラジオ聞いてるって言ってたよな?
アイツの朝のラジオ、すげぇ早い時間じゃなかったか?」
「はい。朝6時からやってるやつですよ。
私、朝練もやるので…その時間に起きて、タツミさんのラジオ聴きながら大学の道場に向かってます」
「うは。俺、まだ寝てる時間だわ(笑)」
「ふっ。イッサちゃんが言ってましたけど、ラーメン屋さん、夜は居酒屋になるんですね」
「そうそう。前はさ、ラーメン居酒屋だったのよ。18時から…あの頃は夜中の2時まで開けてて。
でも、親父の体にガタが来て…日常生活に支障はないけど、やっぱり無理はして欲しくなくて。
週末の居酒屋タイムだけ出て貰ってる。本人の楽しみ全部奪うワケにいかないもんな。
ラーメン屋は11~16時まで。居酒屋は19~23時半まで」
「そうなんですね。それじゃあギリギリまで睡眠とらないとですね」
「そーいうこと。まぁ、たまには早起きしてアイツのラジオ聴いてやるかな(笑)」
「ふっ。面白いですよ、タツミさんのラジオ」
「知ってる(笑) 月曜昼もさ、チャンスがあったら聴いてみな。多分朝のより自由過ぎて、ドン引きするかもな?」
「えええ。ほんとに? まぁでも、北川が出ちゃうくらいですもんね」
「(笑)(笑)」
キタガワが絡むと途端に辛口になる、ホノカが面白くてたまらない。
キタガワがいないこのメンツでも楽しそうにしてくれて、俺はほっとした。
「あ。イッサちゃん達帰ってきましたよ」
「うん?」
勇実とタツミくんが、俺達の姿を見つけられなくてキョロキョロしていた。
「やべぇやべぇ。おーい、ここだここ。行くかホノちゃん」
「はい」
俺達は勇実達の所へ駆け寄っていった。
…