ハジメの一歩

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「え、なんて? イッ…サ?」

 ペットみたいな名前に目を丸くするホノカ。

 勝負に出たなタツミくん(笑) でも、いいのか? それ、キミの専売特許だったんじゃないの?

「ちょっ、もうっ! タツミくん」

「今まで俺しか呼んでなかったけど。よかったらどーぞ?(笑)」

 勇実に叩かれながら平然と言ってのけるタツミくん。

「え、と、あの、じゃあ…



 …イッサ、ちゃん」

 モジモジしながらホノカが言うのを聞いて、勇実の動きがピタリと止まる。

「わ、あ、ぁ。今。キュンときた。なんだこりゃ」

「ちょっ、イッサ、痛いから(笑)」

 タツミくんの二の腕をバシバシと叩いて、デレデレする勇実。オッサンみたいだなオイ(笑)

「ホノちゃん! もっかい言って?」

「イッサちゃん」

「もっかい!」

「イッサちゃん。へへ」

「んー! イイ! その呼び方で是非お願いします(笑)」

「イッサちゃん。カワイイ。こんな妹が欲しかった…」

 ペコリと下げられた勇実の頭を、ホノカは何のためらいもなく撫でた。

 その光景に、俺とタツミくん、同時にそっぽを向いてぶはっと吹き出した。

「ハジメさん…俺…腹イタイ…(笑)」

「俺もだよ(笑) …くくくっ」

 そんな俺達の事はお構いなしに、勇実とホノカは話を続ける。

「あ、そういえば。ホノちゃんはキタガワくんを苗字呼び捨てだね? キタガワくんはホノカって言うのに。何で?」

「何でと言われましても…同じクラスになった時からずっとそうですよ。
 向こうも…始めは近藤っていってましたけど…あの時から名前呼びですね、そういえば」

「あの時?」

 勇実が聞くと、ホノカはしまったという顔をして、体を縮み込ませた。

 あの時。ホノカがキタガワを助けたっていうアレか。

「ヒミツだとさ(笑)」

 俺が含み笑いをして言うと、勇実が突っ込んでくる。

「えっ? ナニ、ハジメちゃん、何か知ってるの?
 …ふーん、ハジメちゃんとホノちゃんがヒミツを共有してますよ。タツミさん。
 これはもう、ハジメちゃんにもホノちゃんって呼ばせないとダメじゃないでしょうか。タツミさん」

「ハイ、そーですね、イサミさん(笑)」

 コラコラコラ。ナニを言ってんだ、コイツらは。

 ホノカが固まってるじゃねーかよ(呆)





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