ハジメの一歩

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 木曜日。すっきりと晴れて、真夏日をまた更新しそうだ。

 熱くて気だるい空気を吸ってもテンションが下がらないのは、やっぱり今日の企画を楽しみにしている自分がいるから。

 どういう一日になるんだろうな。



 タツミくんが行こうと言った海は、昔勇実と行った孤島の海ではなくて、そこよりもっと商店街から近い所の、遊園地と水族館がそばにある浜辺。

 近いと言っても、電車には乗っていく。海沿いの高い所を走る、無人運転の電車。

 俺達はその電車の始発駅で待ち合わせをした。

 俺が到着した時、すでにタツミくんと勇実、ホノカが待っていた。

「あっおはよう! ハジメちゃん」

「おはようございます(笑)」

「おす。テンションたけぇな、オマエら(笑)」

「そういうハジメちゃんこそ、今日は眠そうじゃないね? 実は楽しみだったんでしょー?(笑)」

「コノヤロ(笑)」

 勇実がキタガワみたいな笑い方をするから、半分呆れて勇実のこめかみを小突いた。

 その様子を静かに見ていたホノカと、目が合った。

「おはよ」

「おはようございます、て…ハジメ、さん」

「ぷっ。まだ、サラッと言えない?(笑)」

「そ、そりゃそうですよ。まだ、数回しか逢ってないし。年上だし」

 未だにぎこちないホノカに、なんだか癒される。

「キタガワは? 一緒に来たんじゃないの?」

 キタガワの姿がない事に気付いて、辺りを見回す。

「まだ来てないですよ。一緒なんて…そんなしょっちゅうじゃないですよ。
 …連絡、してみましょうか? もう集合時間、だいぶ過ぎてますもんね」

 そう言ってホノカは、自分のスマホをカバンから取り出した。

 そして画面を見るやいなや、眉をひそめてスッスッと液晶をスライドさせた。

 しばらくじっと画面を見つめて…ホノカは深い溜め息をついて、言った。

「あのぅ、みなさん…北川、来ないそうです」





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