ハジメの一歩
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「あっそうだ。ねぇハジメさん、俺、ただ食べに来ただけじゃなくて」
キタガワとホノカのやりとりが鎮火するのを少し待ってから、タツミくんは話を切り出した。
「うん? なによ」
「【きたいわ屋】の休み、木曜日で変わらないんでしょう?
次の木曜日にね、海でラジオのロケしようって思ってるんです。それを次の月曜の枠で流したくて。
今日録音を試したのも、その為で。
よかったら、一緒に行きませんか? 海(笑)」
「へ」
タツミくんの思いがけない提案。
「ハジメちゃんハジメちゃん。私も行くから(笑)
キタガワくんも。ホノカちゃんも。一緒においでよ。
みんなで浜辺でバーベキューしようよ。ねっ?」
勇実も楽しげにこの話に乗ってくる。
まじか。そんな夏らしい事するの、すげぇ久しぶりなんだけど。
「まじすか! 行きます! 絶対行きます! ホノカも行こうぜ。剣道、しばらく休みなんだろ?」
「う…ん、大会終わって、次の合宿まで何もないけど…
…いいんですかね? 私まで」
はしゃぐキタガワとは反対に、ホノカは遠慮がちに俺に視線を送る。
「いーよいーよ。コイツらに遠慮してたら損よ? 自由だもん。なぁ?」
俺の言葉にウンウンと頷く勇実とタツミくん。否定しないのがコイツららしい(笑)
「はぁ、そうなんですか? じゃあ…まぁ…北川が行くなら。ほっとくと、何しでかすか分からないし」
真面目な顔してホノカが言うから、キタガワ以外大爆笑だった。ホノちゃんてば酷すぎ、とキタガワは下手な芝居を打っていた。
タツミくんの録音のラジオは終盤に差し掛かっていて、
【もうすぐお別れの時間ですね。
次回も録音放送で、実は海で録ろうと思ってます(笑)
何をするかはまだ決めてないけれど、楽しみにしてて下さいね──】
とか言っている。
海。海。海。やべぇ。すげぇ楽しみだ。
※よければこちらもどうぞ
→【ハジメの一歩】中間雑談・1
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