ハジメの一歩

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「あっ来たー! ホノカこっちこっち」
「悪ィホノカちゃん、こっち来なくていい! そのまま回れ右して!」

 俺とキタガワがギャーギャーと取っ組み合いながら同時に叫ぶのを、ホノカは入口で固まって見ていた。

「あ…の? コンニチハ…」

 しどろもどろにホノカが挨拶をすると、

「こんにちはぁ。気にしないで、どうぞ入って入って。
 あ、私達、ハジメちゃんの友達です(笑)」

「ウンウン。ここ空いてるから、どうぞ?」

 勇実とタツミくんが一斉に振り返って、ホノカの姿を目に留めると、同時に手招きをした。

 固まってたホノカが更に直立不動になって、目を見開いた。

 頬が少しずつ赤く染まっていく…

 え…その反応は、ナニ?

 ゆっくりと俺達の方に近づいてくるホノカを、キタガワの頬やらこめかみやらを摘まんだ状態のまま見つめた。

「あ、あの!」

 ホノカが声を張り上げた。緊張しているような、こんなホノカを見るのは初めてだ。

 ホノカの視線の先は…タツミくん?

「もしかして、ご、後藤樹深さんですか?
 あ、あの、あの、あの…



 …いつも聴いてます! 朝のラジオ!」

 えええーー!?

 勢いよく頭を下げたホノカを横目に、思わず顔を見合わせたのは…俺と勇実。

 タツミくんは、ホノカのやたら角度のいいお辞儀に、鳩が豆鉄砲食らったみたいになってる。

 ひとりだけ、キタガワがニシシと笑っていた。





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