ハジメの一歩

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【いつもなら、おなかすいたって言ってる時間ですが…今回の放送は前もって録音したものです。
 でも、言っちゃおうかな。おなかすいたなぁ~(笑)】

 ラジオのタツミくんはそんな事を言っていた。

「出前もいいけど。ここのラーメンはやっぱりここで食べないとね」

「そーだねぇ(笑)」

 そんな事を言う目の前のタツミくんと勇実に、味噌とギョーザを渡した。

「ほら、お待ちどおさま。ったく…オマエらが宣伝してくれたおかげで、味噌しか出てねぇよ。今は冷やし中華の季節なのにさ」

「あははぁ。ごめんごめん。ハジメちゃんの汗が止まんないよね(笑) いただきまーす。
 …う~ん、ギョーザの肉汁がたまんなーい(笑)」

「いただきますっと…ズルズルッ…はー、うま~い(笑)」

 ほんとにコイツらは…俺をノせるのがうめぇな。

「イサミさんイサミさん。アイツ、もーすぐ来ると思うんで。お楽しみに。ニシシ」

「うんうん。連絡くれてありがとね、キタガワくん(笑)」

 な。二人が来たのも、キタガワの策略? まさか、ホノカに逢わせる為?

「キタガワ…オマエ、何がしたいのよ。
 勇実もよぉ、ヤジウマみたいな事してないで、二人で出掛けてくりゃいいじゃないかよ」

「えっやだなぁ、純粋にハジメちゃんのラーメンが恋しくて来たんだよぉ。
 決して、キタガワくんの情報につられたワケでは…ねえ?」

「うん? フフ、そういうコトにしておこうか(笑)」

「そーっすよ。にーさん、気にしすぎっす!」

 ウソだ。絶対、ホノカを見に来やがった。

 コイツらの妙な連帯感に腹が立つ。

 好奇の目で晒されるホノカが気の毒になってきた。

 そう思ったところで、引き戸がガラリと開いた。





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