encourager
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そして土曜日、いよいよクリスマスイブを迎えた。イベントライブは18時から。
いつもは閉店まで仕事の私だけど、この日は潤子サンに了解を得て17時半あがりにしてもらった。
マフラーは昨日、というか今日、日付が変わって小一時間でやっと編み上げた。
きれいにラッピングして、大きめのショルダーバッグに忍ばせた。
タツミくん、喜んでくれるかな?
寝不足だけど、それを掻き消すほどの高揚感が私を包んだ。
毎週2階のラジオ局には足を運ぶけど、1階のライブハウスに入るのは初めて。
いつもは閉め切られている扉が今日は大全開、受付のテーブルが並んで、ライブを観に来たお客さん達でごった返していた。
私はタツミくんから招待状のハガキを貰っていたので、一般の受付とは違うテーブルで受付を済ませて、熱気溢れる会場へすぐに入れた。
ステージの脇にDJブースがあって、そこにタツミくんが入っていた。打ち合わせなのか、スタッフの人と熱心に話し込んでいた。
ふと視線が絡んで、こんな遠いのに、しかもちょっと薄暗いのによく気付いたな、タツミくんはふっと笑って小さく手を挙げた。
ノリちゃんは…まだ来てないのかな。
周りを見渡すと、隅の方でノリちゃんと彼氏のシンジさんが向かい合って話していた。
ノリちゃんが何か紙袋を渡す。
シンジさんが神妙な顔で受け取る。
二人に笑顔が無いまま…二人は離れた。
え…
どういうことなんだう…
昔みたいに、想い合ってキラキラしている雰囲気が全く無くて…呆然とする。
「…イサミちゃん」
ノリちゃんが私に気付いて、小走りに寄ってきた。
「ノリちゃん。シンジさんと喋ってたの? 相変わらず仲いいねぇ」
自分の勘違いかもと思い、努めて明るく言った。
そんな私をノリちゃんはじっと見つめて…
寂しそうに笑って、言った。
「イサミちゃん。
私達ね、サヨナラするの」
…