encourager
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「イサミちゃーん、バイトくん達来たから休憩入って。
あ、今日も上で作業? 好きに使っていいからね~」
「えへへ。はぁい」
整体師を生業としている私、専門学生の頃からお世話になっている潤子サンのマッサージ店で働かせて貰っている。
潤子サンと私がほぼ1日いて、あとは数人のバイトを雇ってシフトを組んでいる。
私はバイトくん達に声を掛けながら、自分のロッカーからバッグと紙袋を取り出して、いそいそと2階の事務室に上がった。
もうすぐクリスマス…
タツミくんと初めて迎えるクリスマス。イベントライブの事以外何も話し合ってないけど…
プレゼントくらいはその日の内に渡したいなと思っていて、タツミくんに内緒で、マフラーを編んでいる最中。時間が少しでも空く度、必死で編んでいる。
だけど、クリスマスまであと4日、ようやく半分を編めた所だけど、間に合うのかすごく不安(泣)
「うあ…拾い損ねたっ…
こうして…こうして…
…ふぅ~、軌道修正できた(*´ο`*)=3」
自分の不器用さに溜め息をつきつつ、タツミくんの喜ぶ顔を見たい一心で、ひと編みひと編み心を込める。
家で握ってきたおにぎりをかじりながら無心に編んでいると、事務所の電話の内線コールが鳴り響いた。
私はガチャリと受話器を上げた。
「ハイ」
「イサミちゃんイサミちゃん!
下に来られる?
珍しいお客さんが来たよ」
潤子サンの興奮気味の声が耳に伝わる。
誰だろ?
編みかけのマフラーを紙袋にしまって、階段を下りた。
「…あっ??」
珍しいお客というその人を目に留めた途端、私はぱあっと顔を輝かせた。
「えへへ。
こんにちは、イサミちゃん…元気だった?」
「ノリちゃーん! いらっしゃい!
ほんともう、久しぶり過ぎだよーっ」
昔このお店で一緒に働いていた仲良しの典子ちゃんに、嬉しさのあまりつい飛びついた。
…