encourager
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カラカラン♪
「いらっしゃいま…オーッ?
二人で来てくれるなんて、随分久しぶりだネー?」
【喫茶KOUJI】の扉を開けると、マスターが私達を見てわざわざカウンターから出てきた。
私達が2年半前に出逢った時からのオアシス、【喫茶KOUJI】。
その頃からマスターは、私達がこういう関係になると予感してたらしい…(笑)
私は毎週休みの月曜日、ランチを食べにここに来る。
でもタツミくんは、毎週月曜日のお昼の帯でラジオをやっているから、お昼ご飯の時間になると私が【喫茶KOUJI】のランチをタツミくんの所へ届けるのが日課。
タツミくんと最後に一緒に来たのは、帰国してすぐに挨拶に行った時。それきり、二人で一緒にというのが出来てなかった。
「あ、今日は録音放送? 時々やってるんでしょ? だったらもっと頻繁に来ればいいのにー」
「すんません」
マスターがわざと責めるように言うと、タツミくんは肩を竦めてから丁寧にお辞儀をした。
「ウソウソ、そんな怒ってない(笑)
さぁ、いつもの席に座ってヨ。二人の会話を生で聴かせてネ~」
マスターは鼻歌なんてしながら、カウンターの中へ再び戻っていった。
私達はカウンター席に並んで座る。そしてしばらく見つめた後、
「「久しぶりだね、この構図(笑)」」
とハモった(笑)
マスターはニコニコしながら、ランチプレートとコーヒーを置いた。
「あれー、ラジオで時々イサミちゃんと喋ってるでしょ、その時こんな感じじゃないの?」
「いやまさか。対面ですよ対面。
あー、でも今度やってみようかな?」
「えー、やめた方がいいと思う。私が横にいたらノイズ入りまくるよ、原稿めくる音、ビラビラビラーって(笑)」
「やりそう(笑) リスナーさんからうるさーいってクレーム来るかな(笑)」
そんな話をしながら、本日のランチ、ハヤシライスを掻き込む。
その途中で、あっ! とタツミくんが声をあげた。
「マスター、ちょっとお願いがあるんですけど。
この…チラシを、お店に置いて貰えませんか」
タツミくんがバッグから出したのは、今週の土曜日のクリスマスイブに催されるライブイベントのフライヤーだった。
…