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(★)

「ンッ…ンッ…ンン…ッ」

「フフ…
 なんで、そんなに我慢してるの?
 声、出しちゃえばいいのに…」

 ある寒い冬の夜。

 2DKの小さなアパートの一室。

 消灯された寝室はすっかり闇。

 誰からも見えないはずだけど、私達はさらにシーツの中に身を隠して、誰にも聞かれないようにヒソヒソ声で話す。

「だ…って、こないだ…
 掃除に来た時…お隣さんの…聞こえたんだよ…
 壁薄いって、ココ…」

「わ、イッサったら。聞き耳立てちゃって、えっちね~(笑)」

「なっ。ちがいます! 不可抗力! どうしようもない!」

「俺達のも…聞かれちゃってたら、どうしましょう?(笑)」

「~~~。カンガエタクナイ…」

 私はいじわるばかり言う彼を恨めしげに見つめるけど、彼は含み笑いするばかり。

「さて…今夜は、イッサがどこまで我慢出来るか、試してみる?」

「なっ…ヤダッ…」

 と言ったと同時に、彼の細くて長い、ギター弾きで出来たタコのある指が、私のカラダのラインを滑らかに、艶かしく滑った。

「アッ…ヤ…タツ…」

「手ぇ使うの、ナシね…」

 そう言って彼は、私の両手のひらをそっと私の頭の上で押さえつけて、私の腰に跨がる。

 敏感なトコロにはギリギリ触れない、焦らして、焦らして、私が身をよじるのを面白がってる。

「イッサぁ…
 出してもいいよ?
 声、聞かせてよ…」

 耳元で囁かれて、私のカラダは発火した。でも、意地でも出すもんか、という気持ちも沸く。

 寝室の真ん中に置かれたセミダブルのベッドの軋む音に、私の息づかいがハモって、アソコがすっごいトロトロになったのを見計らって、

 彼、タツミくんは、私のナカを貫いた。

「う…キモチイイ…イサミのナカ、アッタカイ…」

 私の頭と肩をギュッと閉じ込めながら、タツミくんは動く。

「イサミ…?
 …イッチャウ…ッ」

 タツミくんの素肌に擦られながら、ひとつになる幸せを噛みしめながら、

 タツミくんがイッチャウ直前に、私はイッた。



 最後まで声は我慢したけど、最初から最後まで鼓動が凄くて、イッパイ感じていたのは、タツミくんには完全にバレバレだったと思う。





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