ハジメの一歩

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「そんなこんなでですね、オレとホノカ、生活指導の先生に呼ばれちゃって。担任なんすけど。
 オマエら何やってんのって。
 相手の学校の先生となんかやりとりしたらしくて、まぁお互い様って事で、その時は処罰とかは無くって。
 次からは助けてやれないぞってね」

 キタガワの言葉に、ホノカがうんうんと頷く。

「それでね、それから何故か、オレとホノカで色々やらされる事が多くなって。実行委員とか。
 高3のほとんどは、ホノカと一緒の思い出しかないっす」

「へー。あ、ホノカちゃん悪い、隣座るけどいい?」

「あ、ハイ、どうぞ」

 まかないのラーメンをカウンターに置いて、俺はホノカの隣に座った。

 ホノカからいい香りがする。剣道の後なら当然シャワー浴びたりするよな。

 なんてよこしまな事考えちゃうのは、男だから許して。

「そーいえばさぁ、にーさん、ちょっとクマに似てるよね。あ、クマってその担任のアダ名なんすけど」

「ふっ。話し方とか、雰囲気が? 先生は、もっとポッチャリだったけど」

「あ、知ってる? クマ、結婚するんだって」

「ウソ? 私、何も聞いてないんだけど」

 コイツら、付き合っちゃえばいいのに。ポンポンと話の弾む二人を見て──キタガワが一方的に話を振ってるようにも見えるが──ボンヤリとそんな事を考えながら、俺は遅い昼ごはんの麺をすすった。

 …お?

 この組み合わせ、今日は美味い気がする。

 いつも適当によそってるから、味がバラバラで美味いって思った事なかったんだけど。

 さっき、どんな比率で入れたっけか?





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