ハジメの一歩

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 醤油4、味噌2、ギョーザ6枚。急ピッチで仕上げていく。

「はいっ、お待ちどおさまっす!」

 キタガワがそれぞれに運んでいって、最後にホノカの前に、醤油とギョーザをゴトリと置いた。

 人形みたいに、感情を読み取るのが難しそうな、涼しい顔のホノカ。そのホノカの顔が、ちょっとだけ動いた。

 目を軽く見開いて…多分、これから食べるって事への喜びなんじゃないかと思う。

「剣道してきた後なんだって? だったらけっこう、ペコペコなんじゃないの」

 俺の言葉に、ホノカは顔を上げて苦笑いをした。そしてまた、どんぶりに目線を戻して、

「いいにおい。いただきます」

 小声で手を合わせた。いちいち礼儀正しい。俺もいちいち見なきゃいいんだけど、なんでかな、いち動作いち動作がキレイで、つい目で追ってしまう。

「なぁ、うまい? うまい?」

 キタガワがホノカの横でやかましいから、

「ちょ…もう、北川、うるさいな。静かに最後まで食べさせてよ」

 ホノカの鋭い一瞥を食らっていた。でもそんなのは全く気にしていない様子のキタガワ。

 マブダチ…なのか? まぁ、見えないこともないが… どちらかといえば姉弟みたい?

 おちゃらけたキタガワと清々としたホノカ。

 この二人を繋げたものはナニ? ちょっと、興味が沸いてきた。





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