ハジメの一歩
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「へ、それって、彼女っていうんじゃないの?」
コイツのノロケ話を聞かないといかんのかっていう、呆れた思いを抱えながら放った言葉は、もしかするとちょっとキツめに聞こえたかもしれない。
そういう話は、勇実のだけで十分だっつうの。
アイツと彼くっつけたの俺だけど…アイツ、俺と付き合ってた事、忘れたんじゃねぇだろうな、なんて思ってしまう俺って…多分すごく情けない。
「いや! いや! 違うっすよ、純粋にマブダチっす!」
マブダチ…今どきそんな言葉使うやついるのね。つーか、女のマブダチって。
どんなコだろ。コイツみたいに、キャンキャンうっさいのかな。
「ふーん。ま、別にいいけど」
「あざっす! 早速呼び出します!」
キタガワの顔がぱあっと明るくなって、昼休憩なのをいいことに、パパッとアプリでメッセージを送った。
「これから来るそうっす!」
「はやっ」
「剣道の練習終わったとこで、ちょうどお昼を悩んでたらしいす」
「け、剣道?」
「スゴいっすよ、ホノカ。あ、そいつホノカってんですけど、剣道で大学の推薦枠取っちゃうくらい、強いんす!」
なんでそんな強そうなのとコイツが、マブダチ? よく分からん。
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