いいコンビ

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「えこひいき教師」

「ハッハッ」

 北川が質問に答えず小さく笑って言い放つから、その調子に合わせて空笑いをした。

「あー、じゃあさ先生」

「うん?」

「誰か紹介してよ」

「ええ? 誰をよ」

「先生の昔の生徒とか? 奥さんのお友達とか?」

「あほかー。会社でいいヒトいないのかよ」

「オレの職場、男だらけなんだよ~」

「わかったわかった。お前にいい出逢いが来るよう祈っといてやるから。
 おぅい近藤、岩見沢くん。早くこいつを連れてってくれ」

 オマエなに先生困らせてんだ、と岩見沢くんが北川の首根っこを掴んで、近藤が「団子の教室3年7組だって」と言った。

「先生ー! またねー!」

 無邪気に手を振る北川を、近藤と岩見沢くんは俺に一礼をしながら引っ張っていった。

「さてと…仕事に戻りますか」

 彼らが人波に紛れたのを見送ると、ふぅと息をついて反対方向へ、廊下を渡りだした。



 近藤、婚約おめでとう。岩見沢くんと幸せになるんだぞ。



 北川、近藤以上の女を見つけられたら、また俺の所に来いよ。



 いいコンビだったあの頃のお前達は、俺の中にだけ留めておこう。





 ガヤガヤと騒がしい中、そんな事を思った。










いいコンビ〈完〉





[リアルタイム執筆期間]
2016年11月28日~30日

[改稿終了日]
2021年6月22日






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