いいコンビ
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北川から直接聞いたわけじゃない。
だけど、ある時から。
そうだ、近藤の親父さんが亡くなってしばらく経ってから。
北川の、近藤を見る目が優しくなったんだよな。
長いこと教師やってると…そういうのが分かるようになってしまう。
教壇に立っている時なんて丸わかりで。あいつとあの子はアイコンタクト取ってるから付き合ってるとか、あの子はあいつをずっと見てるから片想いなんだなとか。
「そうかぁ、近藤、おめでとう。お母さん、喜んだろ」
俺がそう言うと、二人は同時にくしゃっと顔を崩した。そんな所もそっくり。いい夫婦になる予感をさせてくれる。
「それで? 式挙げるとかするのか?」
「あ、はい。今彼と式場探しをしてて…まだ正式じゃないけど、来年の6月中に出来たらと」
「ひゅーひゅー♪ ジューンブライド。にーさんたらロマンチック~。
って、いたたた、にーさん、ガチで入っちゃってるっすけど!」
懲りない北川に岩見沢くんがヘッドロックをかけてる(笑)
「ホノ、こいつにスピーチ頼むのやめよっか」
「そうですねぇ」
「えっひどっ! オレすっげぇ楽しみにしてるのに!
にーさんとホノカのあれやこれや、あんなコトやこんなコト…」
ここまで言った所で、近藤は北川に思いきり額にチョップを入れた(笑)
そして再び俺に向き直り、真面目な顔で言った。
「先生? まだ先の話だけど…私達の結婚式に来て頂けますか?」
お願いします、と岩見沢くんも北川を離して近藤と一緒に頭を下げた。
これまでも教え子の結婚式に何度か呼ばれたけど、こんな風に直に報告された事はなかったな。
「もちろん。是非出席させて下さい」
二人の幸せな門出を見届けたく、俺は心からそう言った。
「げほげほ。二人とも、肝心な事言ってないじゃん。
先生? 先生もやるんだからね、スピーチ」
喉をさすりながら北川が言うと、近藤と岩見沢くんはあははと苦笑いをして、すがるように俺を見つめた。
おおぅ、まじか。
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