いいコンビ
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俺も彼に会釈を返しながら、
「こんにちは。えーと、こちらは?」
北川と近藤に視線をやった。
すると、北川はニシシと昔と変わらないおちゃらけた笑いをし、近藤は微かに頬を赤らめた。
「あの先生、こちら…」
「先生! 電話で言ったでしょ? ホノカとあともう一人で行くって。
「ちょっと北川! 私から紹介するって言ったのに!」
北川に遮られて、近藤が後ろから北川の肩をはたく。二人のやりとりは高校時代から変わってない。
それを微笑ましく見ていると、青年、岩見沢くんも、二人の後ろで笑いを噛み殺しながら肩を揺らしていた。
彼もこの光景が好きなんだ、咄嗟に思った。
「久間先生、初めまして。岩見沢元と申します。
先生の事は、キタガワくんとホノカさんからかねがねお聞きしてます」
岩見沢くんは好青年だった。礼儀正しいし、かと言ってそれが堅苦しくもなく、とても自然体。
「ひゃー、にーさんがキタガワくんだって。ムズムズするぅ~」
「うっさいキタガワ、話を遮るな」
「はいはい~。先生あのね、オレこの人のラーメン屋のバイトやっててね…」
口を挟む北川を岩見沢くんがぴしゃりと制するが、北川のお喋りは止まらない。
岩見沢くんは近藤と顔を見合わせて、やれやれと同時に肩を竦めた。
お、こちらも息がぴったり。付き合い長いのかな、と見ていると、近藤が俺に向き直して話し出した。
「それで、あの、先生」
しかしまた、北川がマシンガントーク。
「先生! ホノカ、プロポーズされたんだよ。二人、結婚するんだよ!」
「だーかーらー北川、もうー!!」
えーっ。
近藤、結婚するの?
そうかぁ。
北川、フラれたかぁ。
お前、近藤の事好きだったのにな。
…