ふとした風に吹かれる
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「んなバカな…8年…も経てば変わるでしょ。さっきなんて、べーやんだってちょっと分かんなかったもん」
「あっやっぱりか、傷ついたぞオイ。
小山は、変わって…
……いや、そんなことないか、
眩しくなっちゃって。幸せなんだろ、なあ」
あははぁと照れ笑いをするイサミ、きっとべーやん君の言葉の意味を深く取ってないし、べーやん君の目の奥に宿っている気持ちも知らないままなんだろう。
もし俺がこの場にいなかったら、べーやん君は【好きだった】って伝えたかな…?
そんな事を考えていると、べーやん君があっ! と声をあげて、前カゴに入れてあった紙袋を取り上げて中を探った。
「小山覚えてる? 学校の近くにあった【肉のあすか】。俺さっき買ってきたんだよ。
オマエこれ、しょっちゅう食ってたよな。
後藤さんもよかったら」
べーやん君の手にはふたつのメンチカツ、ペーパーごとイサミと俺の前に差し出された。
「うわぁ懐かしい! 学校帰りによくみんなで買い食いしたね。
タツミくん、すっごい美味しいんだよ。べーやん、ありがとう!」
イサミのはしゃぎっぷりに素直に便乗出来ず、
「ありがとう、でも、いいの? べーやん君のお昼ごはんじゃないの?」
と遠慮がちに聞いた。
…