ふとした風に吹かれる

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「フフ…他には?
 あ、そういえば、さっき【あの小山が~】って言ってたけど?」

「あっそれですか? それはですね…」

 答えは分かっちゃってるけど、べーやん君が何て言うのか、密かにワクワク。

「中3の時だったっけ…仲間内で恋バナした事があって。初恋いつだった? って。
 そこを小山が通りかかって…【小山の初恋っていつ?】って誰かが言って。
 そしたらコイツ…【無い!】っつって。
 えええー!? ってその場どよめきましたよ。小山の友達もビックリしてたよな。それほんと? 女子で15でそれって大丈夫? って…みんながみんな心配してました(笑)(笑)」

「ふんだ…べーやんなんて、幼稚園の先生が初恋じゃなかったっけ? マセガキったらないね」

「うわオマエ、そんな事覚えてるの? 忘れてくれよ…」

 いつまでもいじられっぱなしじゃない、ちょいちょい小さな反撃をするイサミが面白い。

「高校生活ならさすがに…と思ったら、まだ無いって言うし。
 男っ気ないヤツ~って思ってたら…
 ……
 こーんな、カッコいいヒト捕まえられるヤツになっちゃったんだなぁ…
 あの頃から全然、変わってないのになぁ」

 べーやん君が俺を見てしみじみと言う。なんか照れくさい。





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