ふとした風に吹かれる
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「くくく…コイツ、勇実でしょ? 名前の通り、勇ましいっていうか…
なんか、クラスを引っ張るタイプっていうか。明るいノリにみんなが乗っちゃうみたいなね。
だから持ち上げる時にね、【イサマシ小山】って呼んでました(笑) あー懐かし」
「ぶふっ。プロレスラーにいそうな感じね?(笑)」
ゲラゲラ笑うべーやん君につられて、俺も派手に吹き出した。
「ちょっとー! ほんと、はずかしー!
どうせならもっとまともな呼び名にしてよ。
私知ってるんだから、そう言い出したのべーやんだよね?」
「ふん、小山が先に変なあだ名付けたんだろーが」
うん、そうなんじゃないかなと薄々分かってた(笑) でもべーやん君、嫌な気はさらさら無いでしょ。
もう少し昔話を掘り出してみようかな。
「それで? 他に思い出深い話はある? イサマシ小山の(笑)(笑)」
「こらタツミ!」
イサミが精一杯背伸びをして俺の後頭部をバシッとはたいても、俺は気にしない。
その様子をべーやん君は可笑しそうに眺めていた。
「ははっ。
そうですね…そういえば小山、マッサージ得意だったよな。いつも美術のじーさん先生に揉まされていたっけ(笑)」
「へえ、イッサそんな前からマッサージしてたのね」
「そうだよー。その先生だけじゃなくて、職員室行く度色んな先生に揉まされてた(笑)」
「そうすると、成績に色付けて貰ってんじゃないの? って思うでしょ。
それがねー…くくく、そのままでした。中の下…」
「べーやん! 喋り過ぎ! そもそも勝手に覗くんだから…サイテーッ」
「まあまあ…見たくなっちゃうから(笑)」
好きな子ならなおさらねぇ。
イサミに「なんかタツミくん、べーやんの肩ばっかり持ってる」とブツブツ言われても、俺は気にしない。
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