ふとした風に吹かれる

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「えっ、小山結婚すんの? ええーっ?」

「ちょっとべーやんってば。そんな…驚くトコ? へんかなぁ」

 べーやん君の反応にちょっぴり落ち込むイサミ。

 イサミは今23歳。同級生なら彼もそうだろう。

 すごく早いとも思えないけど、きっと彼の周りにはまだこの歳で結婚している人がいないんじゃないかな。

「そっかぁ、そうなんだ。おめでとう。
 あの小山がねぇ…ふぅん…
 他のヤツらは知ってんの?」

 顎を触りながらべーやん君が聞く。

「ううん。みんなとはもうずっと会ってないやぁ…高校卒業する前の同窓会が最後だもん。
 べーやんは? 今も誰かと会ってる?」

「うん、何人かとはまだ繋がってるよ。なあ、この事みんなに言っても大丈夫? きっとみんなひっくり返るぞ、あの小山がー? って(笑)」

「うんいーよ。ってもう、またそんなこと言う?」

 イサミとべーやん君が楽しそうに話すのを眺めていると、「はいおまちどおさま」とお店の人が焼き鳥を渡してきた。

「あっどうもです。おいくらですか? イッサ、俺払っちゃうね」

「あーっダメダメ、タツミくん! 今日はタツミくんがお客様なんだから、私がする」

「いーからいーから」

 べーやん君から離れてイサミがこっちに来たので、ちょっとしたやり合いをすると、べーやん君が俺を見ているのに気付いた。





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