樹深
「うーんー…まぁ…
　気持ちが溢れちゃっても仕方ないとは思うけど。
　カノジョは、キタガワくんがそんな気持ちって気付いてるかな？　気付いてると思う？」

北川
「んー…気付いてないと思う…」

樹深
「じゃあカレはどうだろう？　気付いてると思う？」

北川
「…気付いてない…
　…というオレの願望…(苦笑)」

樹深
「(笑)　そうね。意外とあのヒト、鋭いからね」

北川
「うあー…タツミさぁん…どーしたらいいっすかね、オレ」

樹深
「キタガワくんは…その気持ち…知ってほしい…？」

北川
「………

　………イヤ、

　イヤイヤ！

　ダメっしょ！？　ダメです！

　墓場に持っていかないと！！」

樹深
「(笑)　ウンウン。よかった。
　そしたらね。
　まずは。
　今の彼女に連絡をする事。
　これ以上のほったらかしはダメ。
　ジャマかも？　じゃないの。
　社会に出てもお付き合いしたい気持ちがあるのなら、しっかり向き合いなさい。
　お付き合いの続行は当人達の意志次第」

北川
「…ハイ」

樹深
「それから…
　カノジョへの色々なコト。
　気付いた気持ちも。
　罪悪感も。
　ムズムズも。

　全部ここに置き去りにして。

　次逢った時は…しっかり友達でいるといい。
　真っ直ぐ、目を見れるといいね」

北川
「…ハイ…
　置き去りに…していいっすかね…」

樹深
「モチロン。

　…ほら、これ食べて食べて。全然減ってないじゃない。
　お茶も、新しいのに淹れ替えようね」

北川
「…ふぇーん。タツミさぁん。惚れちゃいそうっすよー」

樹深
「(笑)　ダメダメ。俺、既婚者だからね」

北川
「ノリもよすぎー」

樹深
「(笑)(笑)」



（しばし沈黙）



樹深
「…しかし、まぁ、ね…フフッ」

北川
「エ？」

樹深
「…もし…
　…あの時に彼らが別れずに済んで…
　…キタガワくんみたいに大胆に行ったら…

　…どうなってたかなぁ…？」

北川
「………？
　タツミさん？
　ナンの話…してるすか？」

樹深
「………フフッ。
　キタガワくん打ち明けてくれたし…

　…ひとつの話として聞いて？」





…