呼吸を重ねて

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 (★)

 下着を勢いよく上げて、胸をクロスした腕で隠す。

 膝も閉じて、これでもかというぐらいに縮こまって、ソファーの背もたれに横向きに倒れた。

 そんな私に、ハジメさんは脱ぎ捨てた自分のスウェットの上を、私の頭から被せた。

 少しブカブカ。

 ハジメさんの匂い。

 袖を通さず、頭だけ出してしばらく動かなかった。

「ブレーカー云々じゃなかったみたいだなぁ」

 言いながら、私の頭を胸に抱き寄せるハジメさん。

 私だけじゃない、上半身剥き出しのハジメさんも煌々とした灯りの下に晒されて、私の視線は行き場を失った。

 もう、肩の線やら鎖骨の窪みやら、男らしいと思うものに心臓が早鐘を打つ。

「…ホノちゃん?
 …おこってる…?」

 ハジメさんが不安そうに呟いた。

 ホノちゃんに戻ってる。

 ハジメさんはもう、切り替わったのかな。

 私はまだ、こんなにバクバクしてて、震えてる。

 呼吸の乱れがなかなか整わないのを察知したのか、ハジメさんは頭のてっぺんから背中にかけて、大きくゆっくり撫でた。

 袖を通して、ハジメさんの背中に腕を巻きつける。

「おこってない…けど…イジワル…」

 ハジメさんの胸に顔をうずめて、呻いた。

「…だって…
 かわいかったから…

 メチャクチャにシタイ…って言ったじゃん…」

 頬がありえないくらい燃えた。

 メチャクチャに、サレタ。



 ──おしまい?



 そう思ったら、急に寂しくなった。

 お店でキスをして、帰る時間になった時と同じ寂しさが、私を襲う。

「…なんてカオしてるんだよ…」

 ハジメさんが少し驚いた顔をして、すぐにふっと笑った。

 私の頬を両手で包んで、深いキスを落とす。

「んっ…」

「ァア…
 ホノちゃん…
 ホノカ…

 …そんなカオするなよ…
 …止まらねぇ…
 …メチャクチャに…
 ………





 …ベッド来て…」





 最後の方は掠れ声で、わずかに震えていた。



 私と同じ思いであると伝えるには十分だった。





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【呼吸を重ねて】中間雑談・6





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