呼吸を重ねて

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 (★)

 知らないよ。

 ハジメさんのなのかも、私のなのかも。

 ドックン、ドックン、ドックン、とにかく二つの心臓が主張するように、私に響きを与えている。

 ふと、形勢が逆転して私がハジメさんの上に覆い被さる。

 ハジメさんが鼻を私の髪に寄せて、

「いい匂いする…」

 溜め息混じりに言った。

「そんな事な…ァ 」

 耳の後ろから髪を片方の肩へ流されて、その際にハジメさんの指が私のうなじに触れて、くすぐったくて身をよじった。

 髪を梳いたその手が、また私の体をなめらかに滑って、今度は肩から背中側へラインをなぞって、下へ、下へ…

 私の太ももやおしりを撫で回した後、腰の辺りを掴んで、くるっと半回転させた。

 ハジメさんに背中を預けて…ハジメさんの片方の太ももに股がっている状態…

 剥き出しになっている肩に顎を乗せて、おへその下辺りで私の両手を包みながら、ギュウッと後ろから抱きしめた。

 ブラのカップから出されたままの胸、ジッパーを下ろされて丸見えのおへそ、私、今もしかして、とんでもないカッコウなんじゃ…と思い始めた。

 しばらくそのままの体勢でいて、恥ずかしい気持ちでいっぱいになった頃に、

「…ねぇ…」

 とハジメさんが言ったので、ハジメさんの方に顔だけ向けると、短いキスを何回もされた。

「ンッ…ン…ン」

 息をつかせない、それにハジメさんの唇が柔らかい、私の頭をボーッとさせるには十分過ぎる材料だった。

「…ねぇ…」

 ハジメさんがまた問いかける。唇を離さないまま、静かにリップ音を立てながら、私の返事を待たずに続けた。

「ホノちゃんは…


 …どうして俺…?」

 エ? と言いたかったけれど、ハジメさんに塞がれる。

「付き合ってって言った時に…【どうして私?】って聞いたの、覚えてる…?
 俺も聞きたい…
 どうして…俺?
 5コも離れてる俺なんかで…いいの…?」

 どうしてこんな子供みたいな私を好きになってくれたのかな、と思っていた私と重なる。

「ハジメさんだって…どうして…?
 どうして…私…?
 ちゃんと…聞いたこと…ないですよ…」

 私のこの言葉を聞いて、ハジメさんのキスが止んだ。





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