呼吸を重ねて
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その言葉の本当の意味を…徐々に知っていく事になる…
ほのかなランタンの灯りに照らされた空間を、私とハジメさんの呼吸が、震えながらさまよう。
タガが外れたとハジメさんが言うのなら私も…タガが外れた。
──ハジメさんと、もっと近づきたい。
そう念じたのが通じたのか、ハジメさんは私の首筋に顔をうずめてギュウッと抱きすくめた。
いつも、どこか隙間があった私達。
スルリと抜け出す余裕を、ハジメさんは常に私にくれていたんじゃないか。
でも今は…すっかり閉じ込められて…ハジメさんの熱をまともに受けている。
「…ホノちゃん。
…ホノちゃん。
…ホノちゃん…」
ハジメさんが連呼する。
連呼しながら、私の両手を頭の上に上げさせて、耳たぶを甘噛みする。
「ャ…ア…」
ハジメさんの吐息がこもって聞こえて、ゾクゾクと胸の内側が込み上げた。
手で抑えたい、でもハジメさんの手が重く押さえ付けてそうすることが出来ない。
「ハ…ハジメ、さん…」
掠れて涙声になってしまった。
「…コワクナイ…?」
と声にはしなかったけれど、またそう言っているかのような、ハジメさんの眼差し。
押さえ付けていた片方の手がゆっくり下へ…
頬を…肩を…腕を…腰を…
体のラインをゆっくりなぞる。
この胸の震えは、怖さから?
…違う…
こんなに近い距離なのに、足りない? もっと、もっとという我儘からの…高揚。
「…ァッ…
…やめちゃ…ヤダ…ァ」
声帯が振動しない、私のコトバ。
私のおへその辺りで止まっていたハジメさんの手が、胸の膨らみの間を縫って上ってきた。
そして、パーカーのジッパーの引き手を摘まむと、少し強引に一気に下へ引き裂いた。
下着の上から直にパーカーを着ていたから、オフホワイトのレースのブラがすぐにあらわになって、
「ホノちゃん…
…エッチ。カワイイ…」
ハジメさんは上気したような顔でそう言って、両手を体の横に置いた。
それから肩を撫でるように、ブラのストラップも一緒に引っ掛けて、スル…とパーカーの肩の部分を少しだけ下ろした。
…