呼吸を重ねて
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(★)
「…っはぁ」
ハジメさんの唇が離れると、ザアッと雨の音が蘇った。
やっと空気を取り込める状態になったのに、息をよく吸えない、ハジメさんが続けざまに啄むキスをする。
「んっ…ん…ン」
私の喉の奥から絞り出すような声に重なって、リップ音が軽快に鳴る。
唇から鼻、眉間、こめかみ、額、耳たぶにまで、熱い吐息を残していく…
「…コワクナイ…?」
また唇に戻って、くっつけたままそう言われた。
雷なんかとっくに飛んでった。
「ハイ…」
と言ったと同時に、ハジメさんの熱い舌が入り込んできた。
頬に当てていた手がうなじに差し込まれて、より固定された。
夕飯前の未遂を塗り替えるみたいに、深く、深く、私の口内を掻き乱す。
並んで座っていたはずの私達、いつの間にかハジメさんが上から覆い被さって、私はソファーの背もたれへ押し倒されていた。
激しく打ち付ける雨音と、まだ電気は復旧しない、ランタンに僅かに照らされた空間の中で、私とハジメさんの乱れた呼吸が重なった。
「…ホノちゃん…」
「…ハイ…」
ハジメさんの指が私の指の間にするりと入り込んで、ギュッと握られた。
「………」
「…エ? …ハジメさん…?」
ハジメさんが黙り込むので、不安になる。
「…コワクナイ…?」
同じ質問。
でもさっきと違うのは、ハジメさんがとても切なそうで、掠れ声で言う事。
「…雷、もう行っちゃったから…ダイジョウブ…」
「それじゃなくて…
…俺」
「…エ? ハジメさん? を? 私が?」
「…ウン…」
ハジメさんが一度深く息を吐いて、続ける。
「…あのね…
ホノちゃんが上から降りてきて…
俺に抱きついたでしょ…?
そこから…もう…もうさ…
…タガが…外れて…
…好き過ぎる…
…ねぇ…許して…?」
「…ナニ…を…?」
ハジメさんが言おうとしているコト、わかる、なんとなく、私がして欲しいコトと同じ。
でも、確かな言葉が欲しくて、敢えて聞く。
「キミに
触れたい
メチャクチャに
…シタイ」
※よければこちらもどうぞ
→【呼吸を重ねて】中間雑談・5
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