呼吸を重ねて
23/62ページ
あんなに大きく作ったピザだったけど、薄い生地だったから二人でペロリとたいらげられた。
ふと周りを見ると、子供達を先頭にファミリー層がこぞって一定方向へ歩いていく。
「みんなどこ行くんだろうな?」
ハジメさんが不思議そうにそれを眺めた。
私は先ほどの案内板を思い出す。
「あっ。もしかしたら、アスレチックかも。確かそっちの方向ですよ」
「ふぅん? HPで見た感じだと面白そうだったな。腹ごなしに行ってみる?」
「ハイ。ちょっと運動しましょうか」
私達は先に歩く家族の後ろについて歩いた。しばらくしてアスレチックの始点が見えて、他にも何組か家族連れが挑戦していた。
「3.5kmの40箇所だって。けっこうハードそうだな?」
「ですね。ちょっとしたハイキングになりそう。ゆっくり行きましょうね」
ゆっくり、なんて言ったけど、いざ始めると二人ともムキになっちゃって(笑) ワーワー騒ぎながらひとつずつクリアしていく。
しばらくして、私とハジメさんの距離が開き始めて…
「ひぃー、きっついなぁ…ホノちゃーん、待ってー…(泣)」
「ふっ。次のポイントクリアした所で待ってますから、ゆっくり来て下さいね(笑)」
「くそー、余裕だなぁ」
悔しがるハジメさんを置いて先に進む。言う程余裕はない。剣道で鍛えてるけど、私もけっこうハァハァと息が上がってきている。
次のポイントが見えてきた。山の崖を利用した4m程のロッククライミング。
「えぇと…?」
半分登った所で足場を見つけられず、途方に暮れた。キョロキョロしていると、
「あらら、そこじゃないよ。登り始める場所を間違えたら、ずっと上に来れないままだよ」
「エ?」
頭上から声が降ってきた。見上げると、髪の短い小学生の男の子がヒョイと顔を出して、鋭い目を光らせていた。
…