呼吸を重ねて

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 私の家の近くのインターから高速に乗って、市街地からどんどん遠ざかる。

 まだ朝ごはんを食べてないというハジメさんの為に、途中のPAに寄って、

 屋台みたいにズラリと並ぶテイクアウトの飲食店に目移りしながら、色々買い込んだ。

「ハジメさん、こんなに食べるの?」

「え、ホノちゃんも食べるでしょ」

「えぇ? 私、ごはん食べてきちゃいましたよ」

「まじか。でも、ちょっと手伝って(笑)」

「ふ…っ、ふふっ。もちろん(笑)」

 木々に囲まれて朝の気持ちいい空気を吸いながら、フリースペースのテーブルで食べ物を摘まんだ。

 結局ハジメさんがほとんど平らげて、私の手伝いはほんのちょっぴりだった(笑)



 そこからまた、遠くへ遠くへ。

 高速を降りて、目的地のキャンプ場に行く前に少し寄りたい所があるとハジメさんが言って、辿り着いたのは…眺めの良いダムだった。

「…ん? アレ?」

 初めて観た景色ではない気がする。でも、ここに来た事は一度もない。

「気付いた?
 ほら、夏のバーベキューの時にキタガワが…」

「あ! アレ…ですか!?」

 私は自分のスマホをバッグから出して、メッセージアプリを開いた。

 北川とのやりとりの、夏のバーベキュー頃にまで遡ると、バーベキューに来れなかった北川が貼付した一枚の写真が現れる。

 大学のバイク仲間達と、壮大な景色の中でおふざけなポーズを取っている写真。

「わぁ、ホントだ。ここだったんですね」

「そうそうソレ。
 アイツにキャンプ場の話をしたら、オレその近く行ったことあるっすよ、ホラ、夏のバーベキューの時にホノカに写真送った事あったでしょって。
 ホノちゃん連れて行きたいと思って、場所教えて貰った」

 私のスマホを覗き込みながらハジメさんは言った。

 山から降りてくる風が木と水の匂いを運んでくる一方で、私の肩や首筋にかかるハジメさんの呼吸がくすぐったい。

 それに乗って、私をドキドキさせる低音が響く。



「アイツも…
 今頃カノジョとツーリングかな?」



「…へ。



 …えええ…!?」



 私…聞いてませんけど。





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