呼吸を重ねて

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 ハジメさんの気遣いが嬉しい。でも。

「あの、あのね。ハジメさん。
 今朝お母さんに…ふたりでって言った。
 渋い顔されちゃった…
 みんなでって言えばOKくれたかもしれないけど…
 …ウソは…イヤだし…
 …夜、また話すことになってる」

 私がポツポツ言うのを、ハジメさんはうんうんと頷きながら聞いてくれた。

「そりゃそうだ。大事な一人娘だもん、心配だろうさ…俺の事も…得体知れないもんなぁ…
 ………
 ホノちゃん。
 今、お母さんに電話って出来る?」

「えっ? あ、ハイ…今日はお母さん、もう家にいるので…」

「よかった。じゃあお願いしていい?」

 ハジメさんに言われるまま、家の電話にコールする。

 【はい、近藤です】お母さんが出た。

「あっ…お母さん? 私、帆乃夏。
 あ、あのね…あ、いや、まだ帰るわけじゃないんだけど…」

 言いあぐねていると、ハジメさんが【代わって】と小声で言った。

「えと…彼…ハジメさんが、お母さんと話したいって」

 【えっ?】と素っ頓狂な声を上げるお母さん。返事を聞かず、そのままハジメさんにスマホを渡してしまった。

「もしもし。帆乃夏さんのお母さんですか?
 驚かせてごめんなさい。帆乃夏さんとお付き合いさせて頂いてます、岩見沢いわみさわはじめです。
 …ハイ…あ、いえ、とんでもないです。度々寄って貰って…いつも、元気貰ってます。
 その時は遅い時間にさせてしまって…すみません」

 お母さんとハジメさんが喋っている…とても変な感じだった。

 ハジメさんの顔が穏やかだから、お母さんの対応も柔らかいんだろうと思った。





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