呼吸を重ねて

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「難しかったら…今回は日帰りにしようか」

 そんな事を思い返してボーッとしていたら、不安そうなハジメさんの声が耳に届いて、ハッとなった。

「あっいえ! あの、ハジメさんが大丈夫なら…
 …行きたい、です」

「…ホント?」

「…ハイ…」

「…へへ。やった」

 ハジメさんの嬉しそうな声。こういう所、年上ってことを忘れて可愛いって思っちゃう。

「…あ、でも、キミのお母さん…」

 え? と聞き返す前に、電話の向こうでバタバタと騒がしくなって、店長ー! とバイトさんの声が聞こえた。

「ホノちゃんゴメン、急に混みだしたみたい。
 また明日、電話するな。
 好きだよ。オヤスミ」

「あ、ちょ…っ」

 プツッ。ツー。ツー。

 …切れちゃった。言えなかった。

 私はメッセージアプリを立ち上げて、文字を打つ。



【そんなついでみたいに言わないで下さい。
 私も
 ダイスキ。
 おやすみなさい】



 送信した後、ベッドの枕に顔をうずめながら倒れ込んで、ンーッ! と声を出した。





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