〈改稿版〉traverse
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「あっ元ちゃん、アレ、なんだろ?」
「うん? なんだろな。行ってみるか」
舗装がしっかりしている所で、30mほど細かい石がズラリと並んでいた。足ツボロードというらしい。
面白そう、靴を脱いで、元ちゃんと歩いてみる。
「うぎゃー! いったーい!」
「ああああ~~~っ! まじか!」
ギャーギャー騒ぎながらへっぴり腰で石の上を歩く私達の横を、数人の小学生達が颯爽と駆けていく。
「えええ…? キミら、痛くないの…?」
泣きそうな顔で元ちゃんが言うと、
「平気だよ。全っ然、痛くないよ」
さらりと言いのけて、向こうへ行ってしまった。
「…若いって、すげぇな」
「元ちゃん、おじいちゃんだもんね(笑)」
「オマエもだ! このへっぴり腰め!」
「あははぁ」
痛がりながらも、私達は足ツボロードを渡りきった。ツボが刺激されたからなのか、単にお昼を迎えたからなのか、おなかがキューッと鳴った。
「腹へったなぁ。なぁ勇実、食べたいのあるんだけど、いい?」
「ん? ナニ?」
「生しらす丼」
「あっいいな! ズルい、私も食べたい!」
「ナニ言ってんだ、一緒に食うんだろ(笑) 店、あの島の方だから」
また恋人繋ぎをして、潮風を受けながら、孤島を繋ぐ大きな橋を渡り始めた。
…