〈改稿版〉traverse

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 翌日の土曜日。大将のチャーシュー丼を温めて食べて、私は家を出た。

 今日は歩き。潤子さんのマッサージ店で実習。でもちゃんとお給料も貰える。

「おはようございまぁす」

 まだ開店前なので、裏口から入る。

「勇実ちゃん、おはよう!」

「あっ、のりちゃん、おはよ!」

 同い年の女子大生、典子のりこちゃん。フワフワとした笑顔で私を迎えてくれた。

 典ちゃんはこのお店の受付や補助をする担当。最近付き合い始めた彼氏とも順調みたい、すごく幸せそう。

「あっ勇実ちゃん! 来たね」

 ニ階の事務室から潤子さんが降りてきた。ん? 何か持ってる?

「昨日、勇実ちゃん誕生日だったんだって? きたいわ屋の連中から聞いたよ。
 やだよもう、あたしゃ全然気付いてなくて。
 こんなのしか用意出来なかったけど、誕生日おめでとう」

 潤子さんが差し出したのは、プラケースに入った、オレンジを基調としたプリザーブドフラワー。

「わあっ、かわいい! 潤子さん、ありがとう!」

「あっはっは。なんか勇実ちゃんは、オレンジって感じだからさ、ピーンって来ちゃったんだよネ」

 豪快に笑いながら潤子さんは言う。

「えーっ、勇実ちゃん、そうだったの? 知ってたら用意したのにぃ。
 あっ、じゃあ今日のお昼おごらせて? 美味しいランチ食べようよ」

「やったぁ。楽しみ~」

 鼻歌混じりに、ロッカーに自分のカバンと貰ったお花を入れて、マッサージ師の制服に着替えた。





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