〈改稿版〉traverse

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「うわぁ~!」

 翌日、木曜日。

 私と元ちゃんは、少し遠くの海辺の町までやって来た。

 電車を乗り継いで、最後に乗った電車が町の路面を滑走したのにも感動したし、そこを抜けて今、目の前に海と空が拡がって、大興奮の私。

 そんな私の隣で、ふわぁ~っと大きなあくびをする元ちゃん。普段ならまだ寝てる時間、がんばって早起きしてくれたんだね。

 海と空の境界線がキラキラボンヤリ、とてもキレイ。



 電車を降りて、海岸に向かった。人がごった返している海水浴場があるけれど、泳がない私達は素通り。

「元ちゃん、泳がなくてほんとにいいの? こういう所ではしゃぐの好きそうなのに(笑)」

「オマエなー…俺をどういうイメージで見てんのよ。
 まぁ、泳ぐのは好きだけど。今日はいいや。オマエとブラブラしてたい」

「そうなの? 水着のおねえちゃん見て目の保養にしたいとかないの?」

「ばっ…ナニおっさんくさいコトを…
 …オマエのは見たいけど…でもなぁ…他のヤツに見せたくねぇし…あぁくそ」

「えっナニ? よく聞こえない」

「なんでもねーよ! さぁ行くぞー」

「ちょっとぉ、待ってよぉ」

 早歩きの元ちゃんに必死についていく。

 やっと横に並んで、元ちゃんの手をギュッと握ると、元ちゃんがビックリした顔でこっちを見た。

 え、なんかマズかった? と思ったら、元ちゃんの指が私の指の間にスルリと入り込んで、ギュッと包まれた。

 恋人繋ぎ、実は初めて。うわ、ドキドキするよ。

 元ちゃんを見上げると、ほんのり頬を染めて照れ笑いをしてた。





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