〈改稿版〉traverse

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 私のその、粗相はなかった事にして。

 次の日の土曜日、マッサージ屋の昼休憩で典ちゃんとランチをした時に、男の人へのプレゼントについて熱く語り合った。

 長く使っていける物や、どこかへ遊びに連れていくというのも、意外に喜ばれるとか。

「ふーん。そんなもんですかねぇ」

「そんなもんですよぉ。男の人って、女の人よりそういうの、大事にしちゃうの多いかも」

 彼氏の事を思い浮かべているのか、ニコニコとしながら典ちゃんは言った。

「でもねぇ、遊びに行くったって、私と元ちゃん、休みが合わないしねぇ」

「まぁ…そこはねぇ、無理にとは言わないけど。何か、その人らしい物が見つかるといいね」

「んー、元ちゃんらしい物かぁ」

 そこまで話して、なんとなくアイデアがまとまってきた。

 そういえば古本屋でバッタリ逢った時、ジーンズのポケットからお財布がはみ出していたなぁ。落ちそうで、不用心だなぁって思ったっけ。

 あと、元ちゃんがお店で頭に巻いてるタオル。いつもおんなじ様なのしか見たことないなぁ。

 それから元ちゃん、タバコもたまに吸ってるよね?

 私はウォレットチェーンとタオルと携帯灰皿を探す事にして、マッサージの仕事が終わった後、お店を転々と歩いた。

 そして、それぞれいいものが見つかった。お買い上げ。

 元ちゃん、喜んでくれるかな?





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