〈改稿版〉traverse

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 え…

 え…

「…えええっ??」

 耳を疑った。

 樹深くんが、私を…好き?

「はあー…やっと言えたぁ…」

 せっかく落ち着いていた心臓がまた暴れ出してパニックになっている私をよそに、のんびりそんな事を言っている樹深くん。

「え…あの…いつから…?」

 バクバク言っている心臓に、落ち着いてと必死に唱えて…ウロウロと視線をさ迷わせながら、樹深くんに聞いてみる。

「んー? …いつからだろ。
 はじめはね、面白いのがいるなーって思ったの(笑)
 ラーメンの匂い残してくし。ピザトースト加えてキョトンとするし。
 初めて話した時は、よく噛みついてたよね。
 話さなくていい事、何でも話すし。馬鹿正直で。
 くるくる表情が変わって、見てて飽きなかった。
 いつも元気で明るいイッサ…
 時々チョーカッコ悪いイッサ…
 色んなイッサを見てきて…

 …いつの間にか、好きだった。

 …って、ちょっと。
 なんで耳塞いでるのよ(笑)」

 途中から、軽く指を折り曲げた手で両耳を覆っていた私。

「だっ…だって…
 …聞いてて…
 ……はずかしい……」

 私、今、どんな顔してる? 頬が燃えてる。誰か氷持ってきて。

「…うん…
 …俺も…
 …言っててはずかしいんですけど」

 樹深くんの言葉に、思わず吹き出してしまった。





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