〈改稿版〉traverse

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「えっいいの? そういえばすっかり忘れてたよ。ありがと、元ちゃん。
 あっ? だから今日味噌ラーメンのお声が無いワケ?」

「あ、バレた?(笑)
 まーでも、一応作るつもりだけど。樹深くんが来てからな」

 そうとなれば、ちゃちゃっと樹深くんを呼び出さねば。LINEじゃなくて電話。

「あ、樹深くん? あのね、きたいわ屋においで。元ちゃんが、この前のライブの打ち上げをここでやれって」

 樹深くん、息を切らしてやってきた(笑)

 ちょうど誰も来てない時だったのでよかったと。あと私と同じで、打ち上げの事をすっかり忘れていたと。

 店の中に入った途端、オジサマ達にグラスを持たされて、トクトクとビールを注がれる樹深くん。

「ハイハイ、主役が揃ったところで! 皆さん、グラス持ちましたか?
 えー、もうひと月以上前ですが、樹深くんと勇実、無事にライブをやり遂げたので!
 曲がりなりにも、リハーサルに付き合った僕らもお疲れ様ってことで!
 今夜はいっちょ、盛り上がりましょー!」

 元ちゃんが乾杯の音頭を取ると、

「カンパーイ!!」

 ガチガチガチッと、皆さんからの祝杯の嵐。私と樹深くんのグラスが割れちゃうんじゃないかって心配するほど(笑)

 自転車の私はちょつぴりだけビールを頂いて、あとはジンジャーエールで。

 元ちゃんと大将がせっせとお酒のおつまみを作って、次々にカウンターに置いていくと、オジサマ達は自由に取っていった。

 樹深くんはオジサマ達にもみくちゃにされながら、リクエストされた曲を沢山歌って…その中に、あのライブで披露した【hurray】もあり、それは私も一緒に歌った。





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