traverse
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(★)
シャツの前が、ハラリとはだけた。
サナダは興奮した様子で、私の胸を舐めるように眺める。
「やっぱりぃ。Cかな? Dかな?」
片方をブラのカップから出された。尖端を指先で弄られる。
ゴメン、ハジメちゃん、ゴメンナサイ。
悔しくて、顔を背けた。
両手を下ろされた。自由になったんじゃなくて、手首を掴まれて、肩の高さの辺りで壁に押し付けられた。
ちゅぱっ
サナダが尖端を口に含んだ。その中で舌を転がす。
「んっ…ぁ…」
気持ち悪いと思うのに、私の声は…
それを聞いてサナダはすっかり調子に乗って、執拗に舐め回した。
はぁはぁと私の息が荒れ、涙がにじんだ。
ハジメちゃん…ゴメンナサイ…
自分の無力さに絶望して、全身の力が抜けてしまった。
その時。
「ぐっ」
サナダにガスッと何かが当たって、サナダがうずくまった。
下に転がったそれは、大きなスポーツバッグだった。
呆然とバッグとサナダを見ていると、急に腕を引かれて、路地の出口の方へ放られた。
よろめいたけれど、なんとか足を踏ん張った。
サナダの方を振り返る。
サナダは見えない。
代わりに、ひとつの後ろ姿。
「行って! 早く!」
うそ
タツミくんだった
…