traverse

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「ねーノリちゃん、カレとは相変わらず、ラブラブ?」

「うん。カレ、優しいよ。私にはもったいないくらい」

「あららぁ、ごちそーさま♪」

「えへへ(笑)」

 ふんわりパーマの赤毛が揺れる。めちゃくちゃ可愛い! 私が男だったら、ソッコー抱きしめちゃうよ(笑)

 開店前の床の掃き掃除やマッサージ台の拭き掃除をしながら、私達は話を続ける。

「カレね、大学のお友達と趣味でフォークバンド組んでてね。週末、駅前でやったりしてるの」

「へえ。この商店街でも、週末の夜にいたりするよ。こっちにも演奏に来たらいいのに」

「うん、でも、駅の方がメンバーが集まりやすいんだって。
 私も…ここのバイトの後に行きやすいしね(笑)」

「なるほどぉ。あっ、そういえば!」

 私は急に、昨日のあの、ハッピーバースデーのギターの人の事を思い出して、ノリちゃんに話した。

「ふふっ、それはタイムリーだったねぇ(笑) よくそこにいる人なの?」

「うーん、どうだろう。私自転車だから、耳で聴いてても顔までは見ないんだよね。
 えーっと、名前、言ってたんだけど何だったかな?
 えーっと、ミ、ミは一緒だった(笑)
 チューリップハットの、背の高い、ミの人!」

「えー、なにそれー(笑)」

 ケラケラと笑い合っていると、あっという間に開店時間になった。

「さあ、お客様を迎え入れるよ。今日もしっかり働きましょう」

「はぁい!」

 お店のシャッターを開け、外の光を入れ込んだ。





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