traverse

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 泣いた、泣いてない、の討論をしながら、私達は早めのランチをした。映画館で食べちゃってるから、そんなにお腹は空いてないんだけど。だから、ゆっくりペースで。

 おっきな窓ガラス越しのカウンター席、目の前にはこの街一番のシンボル、おっきな観覧車がそびえ立つ。すぐ近くに、狭いながら遊園地がある。

 まだ一度も入った事ないんだよなあ、今日せっかく休みだから、ちょっと行ってみたいなぁ、なんて言ったらハジメちゃん呆れるかな?

 そんな事を考えながら、モグモグと口を動かしてると、

「なあ」

「うん?」

「まだちょっと時間あるから…あの中行ってみるか?」

 なんとハジメちゃんの方から、遊園地のお誘い。ビックリして、喉がつっかえそうになった。

「んぐっ… え? 行くの? ハジメちゃん、そういうのキライそうなのに」

「はは、なんだそれ。別に、キライではないし。オマエがすげえ行きたそうにしてるし(笑)」

 ばれてた。

「まだ入った事なくて。え、ほんとに行っていいの?」

「行かないなら、このまま帰るだけ。店の仕込みやるかなー」

「行きます行きます! ぜひ連れていってくださーい!」

「ははは(笑)」

 こうして、ランチの後私とハジメちゃんはその遊園地で少しだけ遊んでいく事になった。

 入園は無料だけど、アトラクションに乗るのは一個一個別料金。時間と財布と相談しながらだと、3個くらいしか乗れなかった。

 急降下バツグンのローラーコースターと、ペダルを二人で漕ぐスカイサイクルを楽しんだ後、

「最後、アレ乗ってくか?」

 ハジメちゃんが観覧車を指差した。





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