traverse
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(★)
「…あ…ちょっ…と…イタイ…タツミくん…」
「…ゴメン…
…嫉妬した」
腕を緩めて、タツミくんは苦笑いをした。
あと何回言える? 私から【好き】を。
あと何回聞ける? タツミくんから【好き】を。
私は部屋の時計を見た。0時をとっくに過ぎていた。
始発は確か、6:29。それまでに、あと何回タツミくんと囁き合える?
タツミくんと遠く離れる事、この段階でまた、痛感する。
「…イッサ…泣かないで…」
気付いたら、涙が流れていた。
タツミくんが親指で拭ってくれる、頬を包みながらのこのやり方、私、好き。
「んっ…ごめん…ね…ヘーキ…
…私もいっぱい…聞きたい…
…タツミくん…
…好きって言ってよ…
…タツミ…?」
「う…わ…
…イッサぁ…ズルいよ…
…イサミ。好き。好き。好き」
喉の奥で絞るように呟いたタツミくんの声が、私の耳元で籠るように響いた。
プチン…プチン…
私のシャツのボタンがゆっくり全開されて、スルッと肩もはだけさせられた。
ブラと、そこから零れている肌が一緒に、タツミくんの手で覆われた。
…