traverse
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(★)
「フフ…ほんとだ…ドクドク言ってる…」
そう言いながらゆっくり揉みしだく、タツミくんの手…細くて長い指。
「ン…ッ」
声が出そうになって、指を折り曲げた手で口を覆う。
「ね…ヤじゃない…?
…こんな事…されて…さぁ…」
フルフルと首を横に振ると、タツミくんはふっと笑って、もう片方の手で私のこめかみから髪を梳いた。
「わ…ダメ、タツミくん…それ、ズルい…」
胸の内側からゾクゾクが競り上がって、どうにかなってしまいそう。
「そうなの? …フフ…
イッサは…これも弱いでしょ」
「ひぁっ」
私の耳たぶをパクッと甘噛みする。タツミくんの息がかかって、タツミくんの唇が掠って、くすぐったい。
「ア…ア…ァ…」
「ねぇ…好きって言ってよ…」
「エ? …好きだよ…」
「…もういっかい…」
「ンッ…好…き…」
タツミくんの刺激で震わされた声で、つぶやく。
「…ヤバイ。
イッサの好きの声、ヤバイ。
…あの人は、何回聞いたんだろうな…」
え。
ハジメちゃんの事?
と思った瞬間、
優しく取り巻いていたタツミくんの腕が、
突然ギューッと強まった。
…