traverse
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(★)
私がこくりと頷くのを見届けると、タツミくんは私の手を引いて、すぐそこにあった建屋に入った。
はじめての、ラブホテル。
システムがよく分かんない。目の前には何分割ものパネル画面がズラリと並んでる。どうやら部屋の写真みたいだけど。
ねぇタツミくん、これどうしたらいいの?
って聞こうとする前に、タツミくんが画面を見つめながら言った。
「ねぇ…イッサ…つかぬことを聞くけど…」
「うん? ナニ?」
「イッサは…
…ハジメテ?」
「え…
……ウン」
「えっ? だって…」
タツミくんが驚いた顔を向けた。
ハジメさんは? とは言わなかったけど、そう言いたいんだと分かる。
「タツミくんが…サイショ…ですけど。
って、ナニ言わせるのよっ」
なんか段々タツミくんの顔が見れなくなって、くるっと背を向けてしまった。
「…あーっ…そう、そっかぁ…」
私の後ろでタツミくんがなんか、反応がヘン? 妙にソワソワしてるような。
気になってまたタツミくんの方を向くと、目が合った。
「…あのね?」
タツミくんが観念したように、つぶやいた。
「俺も
……ハジメテ」
…