traverse
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(★)
言ったらダメかな?
タツミくんに触れてほしい…って。
「タツミくん」
こんな界隈で立ち止まると変だから、ゆっくりと歩きながら…タツミくんに言った。
「うん…?」
「あのね」
「うん」
「私、タツミくんが好き…」
「え…? あ…ウン…」
タツミくんの頬が赤く染まった。私からの好きに、すごく照れてる。カワイイ。
「もう平気だから…やな思いなんてしないから…
だからね…あのね…
私…タツミくんに…」
「え? あっ、わーっ! イッサ! ストップ! ストーップ!」
「むぐっ」
タツミくんの手で口を塞がれた。前にもこんな事、あったような(笑)
「…俺、ダメじゃん。
イッサにこんな事言わせるなんて、ダメすぎる」
後頭部をガリガリと掻いてうなだれる、タツミくん。
ひとつ深呼吸をして、私の方に向き直った。
真剣な瞳。吸い込まれそう。
「イッサ」
「うん…?」
「イッサが好き。
ねぇ、止めなくて、いい?
イッサの事、忘れないし、
俺の事、忘れさせない。
…イサミを抱きたい」
タツミくんのストレート過ぎる言葉が
私の気持ちの泉に落ちて
ザァーッと溢れたお風呂みたいに
せき止めようとしても
好きがもう止められなかった
…