雑踏の中のふたり
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それからまた月日が過ぎて…半年くらいの間で、高志の腰が抜けるまでになった。
いつまでもつかない固定客、定まらない稼ぎ、だんだん、だんだん、高志の生きていこうという意志が萎んでしまった。
せっかく手に入れた稼ぎも、ずっと持っていると他の浮浪者に盗られたりした。
だから、その日に稼いだ金はその日の内に遣った。
高志の持ち場の周りにも、沢山の孤児が高志と同じように何らかで稼いでいた。
皆、自分の事で精一杯だから、話したり仲良くなったりなどしなかったけれど、なんとなく、アイツはあそこで寝泊まりしてる、ソイツは○○で稼いでる、とは把握していた。
それが、ひとり、ふたり…
「またか」
駅員が棒で突っつき、動かないのを確認すると、バサッと茣蓙を掛けられた。
そして2、3日すると、きれいに片付けられた。
そんなのを、高志はずっと見てきた。
自分もいつかはああなる。
自分はああはなりたくない。
いつも、葛藤していた。
そうして、高志の周りに誰もいなくなった頃、気だるい夏が過ぎて、秋に入った。
…