雑踏の中のふたり

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 (★)

 おっさんの鼻息が、荒い。

 高志は思わず立ち上がった。

 いつもなら腰が抜けてゆっくりしか出来ないのに、この時ばかりは動作が速かった。

 椅子代わりに腰掛けていた小さな木箱が、ガタガタガタッと転がった。

 それに気付いた少女と視線が絡む。

 少女は首を横に振って、力なく微笑んだ。

 そして、潤んだ目でおっさんを見上げると、

「…わかりました」

 うわずった声で言った。

 その言葉に、おっさんはにんまり笑った。

 力の入らなくなった少女の両腕を離して、両手で、少女の柔らかい膨らみを、いやらしく揉み回した。

「…っ!…」

 頬を赤らめ、この仕打ちに必死に耐える、少女。

「ずっ…と、キミを見てたよ。
 あんな格好で物売りをするくらいだ、キミにも、その気はあるんだろう…?」

 はあはあと汚ならしい息を撒き散らす、おっさん。

「…っや…あ…ん…」

 少女は、次第に濡れた声を出し始めてしまった。





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