雑踏の中のふたり
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ある日の、夕闇に包まれた頃。
少女に客が来た。
小金持ちそうな、鼻の下の長いおっさんだった。
「全部くれ」
茣蓙に載せている少女のシャツとスカート、それから、高志の上着、背中の麦藁帽子を順番に指差して、懐から札束を取り出して、それを茣蓙の上に投げ置いた。
「こんなに…?」
少女も、それを遠巻きに見ていた高志も驚いた。
「あの、ごめんなさい、上着と帽子は売り物じゃ、ないんです」
「へぇ?」
少女が上着と麦藁帽子をギュッと掴んで言うと、おっさんは舐めるように少女を眺めた。
「だから、こんなにはいらないです、○○円だけ、下さい」
「わかった。その茣蓙のだけ貰う。金は、あれでいい、受け取りなさい」
「え? でも…」
少女が躊躇していると、おっさんは高志の上着のボタンに手を掛けて、乱暴に前を開けた。
「!!!」
あらわになる、少女の成熟した膨らみ、桜色の突起。
少女は即座に両腕で隠すけれど、おっさんはそれを力づくで体側に下ろすついでに、高志の上着を剥ぎ取った。
手の自由を奪われて、頬を真っ赤にさせる少女を、おっさんはまた舐めるように眺めて、長い鼻の下をさらに伸ばして、言った。
「その代わり、おじさんに、キミのカラダ、触らせてよ? それなりの代金は、支払ったはずだ」
…