悠の詩〈第2章〉

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「ねえ、次応援に行くよ。いつ?」

「えぇ? 次はまだ学校ある日の午前だぞ。サボって来る気かよ」

「あー、そっか。残念」

 週末だけでは予選全試合を捌ききれなくて、平日に試合が組まれる事も多々あった。そんな時は部員は授業免除で学校に来なくていいのだ。

 部員じゃない奴が応援行くから休ませてくれってのは…どーなんだ?

「あ、でも、次からブラバンが応援についてくらしいじゃん」

「うっそ、聞いてない」

 樹深の情報に目を丸くする、野球部の誰からもそんな話は出てない。

「そうなんだ? ブラバンの子達が騒いでたけど。
 うちのブラバン結構な人数いるでしょ、そんならいっそ全校生徒で応援に出向いたらいいのにと思う(笑)」

「えええ、野球部の為に全校生徒休み? ムリだろ~、先生達が許すとは思えねぇ(苦笑)」

「たしかに(笑) まぁ、応援には行きたいから、学校に被んない日があったら教えてよね」

 予鈴が鳴ったのでこの話は終わりになって、結局寝れなかった。俺は重いまぶたを沢山擦って授業に挑んだ。





 次の試合にブラバンが応援に来るというのはでまかせで、でもまるっきり嘘でもなかったみたい。

 ブラバンは行きたがったけど、やっぱり就学の時間帯というのが引っ掛かって、先生達の許可が降りなかったらしい。

 そんなわけで俺達野球部は、俺達の親がチラホラ応援スタンドにいる中で、ベスト4を賭けた試合を行なった。

 これに勝てば市代表確定だったが…俺達は負けてしまった。

 でも、まだチャンスはある。

 ベスト8で負けた4チームでトーナメント戦をやって、頂点に立てば残りひとつの代表枠に入れるんだ。

 ひとつ、勝つことが出来た。

 もう負けられない、負けたらこの夏が終わってしまう。



 背水の陣の思いで挑んだその試合は、終業式の前日で午後からだった。

 ブラバンの連中もやっとの事で演奏を披露する場に来れたし、応援に駆けつけてくれた生徒もかなりいた。

 その中に樹深はもちろん、丸山も由野も、こういう場は好きそうに見えない柏木の姿もあった。





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