悠の詩〈第2章〉
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「そんな、ハズは…少年野球であんなに頑張って…中学でだって、さあ…」
口の中が異様に渇く、混乱する気持ちのまま絞り出す俺の言葉にも、彼らは容赦なく返してくる。
「んなコト言われても…あ、仮入部だけ入ってたヤツらの中にいたかも?
本入部になってやっぱりやめますぅ~ってさ、結構な人数いたな」
「どれがどいつなんて覚えてられないよ。
根性も実力もないのは最初から来ないで欲しいわ…」
ソコ、何してる! と先頭から怒号が飛んで、やべっと竦みながら俺の顔を見ないで、二人は走っていってしまった。
俺はしばらく立ち尽くしていたけど、誰かがホームランでも出したか、ワッとスタンドが沸いたのを聞いてハッとなった。
「……」
戻らなきゃ。皆の所へ、足早に帰る。
すると皆は、荷物をまとめて移動する所だった。
「やっと戻ってきた、柳内おっそー。
ほら、練習用グランドの予約時間になるから行こう。体あっためるぞー」
結局また同じ道を行く。
話を聞かされた地点に差し掛かると、なんでだよユキ、なんでだよユキ、こだまの様に頭に鳴り響く。
自然と歩みが鈍くなって、皆が先に行っちゃった事にも、後ろから「あの、キミ!」と声を掛けられた事にも全く気付かなかった。
「──キミ、○○○中の、さっき清水の事を聞いてきた人じゃないですか?」
…