悠の詩〈第2章〉
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ベスト16には当然ユキの学校もいて、この時に会場が一緒になった。
自分達の出番が近づくまで他校の試合をスタンドから視察する、その最中に「トイレ行ってくるっす」と皆に断って場外に出た。
ユキを見つけて、話をしたかった。
ユキ達の試合ももう少し後だけど…スタンドにはいなかったので、敷地内の練習グランドにいるかも。
そう思ってそっちに走っていこうとすると、向こうから列を成して歩いてくる団体が。
ユキの学校のチームだった。
神妙な面持ちのスタメン(と思われる)を先頭に、うちのチームより少し多い人数の部員がぞろぞろと進んでくる。
その列を乱すのは申し訳なかったので、俺は少し遠下がって様子をうかがった。
列が俺の前を通り過ぎていく。
ユキ。
ユキ。
あれ。ユキ。
…ユキが、列の中にいなかった。
「あの、突然すんません、◆◆中って、これで全員ですか」
最後尾にいた二人の部員に背後から声を掛けると、彼らはびっくりして振り向いて、「そうだけど」不審そうに俺を見ながら言った。
そんな二人の様子なんてお構い無し、納得の出来ない状況に戸惑いながらも、俺は次の質問を投げ掛ける。
「あの、ユキヤ、清水幸也っていると思うんですけど」
それに対して返ってきた答えに、俺は唖然とした…
「清水? なんて、ウチにはいないけど」
どーなってんだよ、ユキ。
…