悠の詩〈第2章〉
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答案返却週間は本当にドキドキで、最後の1枚を返された時に、ようやくおっしゃと心ん中で叫べた。
スレスレな教科もあったけど、全て合格ラインだった。
丸山を見ると、また魂が抜けたみたいに机に臥せっていて、まさかダメだったのか?
心配になってその背中に声を掛ける前に、
「はあぁ、よかったぁ、総体参加出来る…」
弱々しいが安堵の言葉が聞こえたので、紛らわしい!(笑) と軽く坊主頭をはたいて、それから労いの握手を求めた。
丸山はニコッと笑って、俺の手を取った。
「お互い頑張ろうね、柳内くん」
うちの野球部の事を少しばかり。
現在、3年4人の2年5人でスタメンが成されて、補欠に2年の2人が控えている。
設立当初から昨年度までずっとそんな感じの人数で、層が薄かったらしい。
今年は俺達新入生が沢山入部してきた。今は全員ベンチ入りを許されず、試合の時は外野で応援要員だけど。
今までにない層の厚さを感じるらしい先輩達は、「今年は行けるかも! 頑張ろうな!」練習の度にハイテンション。
いずれベンチにも1年生を数名控えさせよう、なんて事も言っている。
これまでの最高の成績は夏の地区予選…150以上ある市内の中学野球部が、5個ある市の代表枠を目指すんだけど…それのベスト16進出。
ベスト4は代表確定で、ベスト8で負けた4チームが残りの一枠を狙う。
まずベスト4入りする事が、今年の俺達の目標。
ここまでを約ひと月も掛ける、代表枠が全て埋まる頃には1学期が終わる。
出来る事ならその先も勝ち続けて、夏休み中も野球に熱中していたいなぁ…
それから、俺には楽しみにしている事があった。
ユキが入学した私立の野球部との対戦を、ずっと心待ちにしていたんだ。
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