悠の詩〈第1章〉

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 止めた方のそれを、由野の左耳の上に宛てる。

 キラキラと控えめに光るビーズのクリップ、決め手は葉っぱ。由野琴葉だから、って随分安易だけど。

 由野は一時大きい瞳で俺を見たけど、「琴葉ちゃんまだー!?」の声にはっとなって、

「今行く。
 柳内くんありがとう、これにする」

 急ぎ足でレジに向かってお買い上げ。そしてまた俺の所に戻ってきて、

「じゃあ私行くね。柳内くんも、先生に見つからない内に班の皆の所に戻った方がいいよ。
 ソレは、買うの?」

 俺の手に握られている木刀に視線を移して言った。

「うん? あー…どうすっかな。欲しいと思ったんだけど、大仏の所より値段が…迷うなぁ」

 時間もないし、さっきまでの物欲が萎んでしまって、由野と似たような事を呟いてしまう。

 すると由野はクスリと笑って、

「そういうの持ってるの、柳内くんっぽい。似合ってる」

 そう言い残して店を出ていった。





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